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	<title>Himeringo</title>
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	<pubDate>Wed, 26 Oct 2011 07:11:31 +0000</pubDate>
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		<title>天津にもう1年</title>
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		<pubDate>Wed, 26 Oct 2011 07:11:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
6月に姉が元気な男の子を産み
7月に遠い昔にお世話になっていた歯医者さんで働かせてもらい
8月、9月とアメリカで美味しいものを食べ　美味しいワインとビールを飲み
10月から　日本の大学の通信制で法学を専攻しはじめ
そし [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/10/1551.jpg" rel="lightbox[1874]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/10/1551-300x225.jpg" alt="" title="1551" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1876" /></a></p>
<p>6月に姉が元気な男の子を産み</p>
<p>7月に遠い昔にお世話になっていた歯医者さんで働かせてもらい</p>
<p>8月、9月とアメリカで美味しいものを食べ　美味しいワインとビールを飲み</p>
<p>10月から　日本の大学の通信制で法学を専攻しはじめ</p>
<p>そして先週　また天津に帰ってきました。</p>
<p>こんどはちょっと大きめのマンションで</p>
<p>窓からは天津タワーが望めます。</p>
<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/10/1555.jpg" rel="lightbox[1874]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/10/1555-300x225.jpg" alt="" title="1555" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1875" /></a></p>
<p>わたしは　なぜだか　</p>
<p>なんとかタワーという</p>
<p>無意味だけれど　</p>
<p>前向きな存在が好き。</p>
<p>良い年になりますように。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>チキンスープと登山（５）孕→乃？</title>
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		<pubDate>Mon, 27 Jun 2011 13:14:19 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
こんなふうに「子育て」「教育」的な事が脳裏を占領しはじめた原因というのも、
自身が30歳を過ぎ、出産のタイムリミットを意識しはじめた事や、
去年の秋に結婚した姉が、来月に出産を控えており、
スカイプで話すたびに臨場感い [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/438.jpg" rel="lightbox[1866]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/438-300x225.jpg" alt="" title="438" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1867" /></a></p>
<p>こんなふうに「子育て」「教育」的な事が脳裏を占領しはじめた原因というのも、</p>
<p>自身が30歳を過ぎ、出産のタイムリミットを意識しはじめた事や、</p>
<p>去年の秋に結婚した姉が、来月に出産を控えており、</p>
<p>スカイプで話すたびに臨場感いっぱいに、</p>
<p>妊娠生活の素晴らしさを語ってくれるせいだろう。</p>
<p>ここ中国での出産は「帝王切開」が半分以上、</p>
<p>「そちらのほうが一般的」とさえ言われている。</p>
<p>妊婦とその家族が、縁起の良い日を選択して、その日に出産できる利点や、</p>
<p>産後の体型崩れ防止など考慮して、帝王切開を選ぶのに加え、</p>
<p>病院側が、自然分娩と比べて、施術が楽な上に、効率的で、</p>
<p>なおかつ高額な料金を請求できる帝王切開を積極的に推奨するらしい。</p>
<p>中国では、出産方法が近代化される一方、</p>
<p>中国の伝統的な配慮から、医者が出産前に性別の告知をする事は少ないという。</p>
<p>姓を継承する事のできる男児が喜ばれる中国社会において、</p>
<p>女児を授かった妊婦を親類の無言の圧力から守るための習慣なのかもしれない。</p>
<p>もしも、どうしても性別が知りたい場合は</p>
<p>医師の前に大金を積むか、占い師に聞きに行くかの二者択一となる。</p>
<p>一昔前の話かもしれないが、胎児が、女児であるとわかった時点で、</p>
<p>中絶する、もしくは、時既に遅しという場合は出産後、</p>
<p>子供を放棄する親もいたそうだ。</p>
<p>一体、どのような形で、子どもを放棄するのかは、想像しがたいが、</p>
<p>中国の新生児の男女比が著しく男児に偏っている事からして、</p>
<p>中国に、かなり効果のある産み分け漢方薬が存在しないかぎり、</p>
<p>何らかの手段で女児が消されているという事は間違いない。</p>
<p>「消す」という表現を使ってしまったのは、</p>
<p>おそらくわたしが仕事に向かうバスの中で、</p>
<p>度々目にするテレビコマーシャルのせいだろう。それはこういったものだ。</p>
<p>白い服を着た美女がなにやら憂鬱な横顔で佇んでいたかと思うと、</p>
<p>急に何かを決意したように振り向く。</p>
<p>そして、次のカットで彼女は、リラクゼーションチェアのようなものに横たわる。</p>
<p>そして彼女が目を閉じると、</p>
<p>習字の用紙に墨で書かれた「孕」という文字に手がかざされ、</p>
<p>キラキラと光る星屑と共に「孕」の「子」という字が消えてゆく。</p>
<p>女性は幸せそうな顔で目を覚まし病院を後にする。</p>
<p>そしてそれを背景にして「天津○○産婦人科」というテロップが映し出される。</p>
<p>便秘薬のコマーシャルのような、爽やかなノリであるが、</p>
<p>これは安全で、快適な（？）施術をアピールした「妊娠中絶」のコマーシャルである。</p>
<p>中国人で、かなり敬虔なカナダ人クリスチャン夫婦の養子である友人とバスに乗っている時に、</p>
<p>ちょうど、このコマーシャルが始まったので、</p>
<p>少し眉をひそめながら「ほら、見て」と注意を促してみたが、</p>
<p>彼女からは、特に何の反応も感じられなかった。</p>
<p>中国では（たとえクリスチャンであっても）中絶というのに、</p>
<p>それほど抵抗がないようだ。</p>
<p>国としても、できる事なら子供を産んで欲しくないという実情があるから、</p>
<p>中絶に罪の意識を埋め込まない配慮があるのかもしれない。</p>
<p>わたしが度々、感じる、中国の親と子どもの距離というのは、</p>
<p>もしかしたら、出産の前から発生している</p>
<p>「新しい生命に対する概念」の違いなのかもしれない。</p>
<p>最近ではそんなふうに思うようになった。</p>
<p>中国は、経済、生活の水準などが、加速的に発展しており、</p>
<p>おそらく今、世界で一番「未来」に向かっている国だと言っても良いだろう。</p>
<p>ところが、親たちの代では、</p>
<p>まさかその未来が今の子どもたちに託されているとは、</p>
<p>思いもよらないといった様子で、</p>
<p>未来を担う子どもにとって重要な社会性や、道徳などの教育を</p>
<p>容赦なくスキップし、</p>
<p>ある限定的な分野における競争に負けない子どもを</p>
<p>ひたすら作り出そうとしているように思える。</p>
<p>エリートに限らず、一般の中国人が「未来像」をもつこと、</p>
<p>そしてそれを学校教育や家庭内の教育に反映させること、</p>
<p>そういった事ができれば、中国は変わる。</p>
<p>人々が未来を思い描く事。</p>
<p>新しい生命にワクワクして、未来への希望を持つ事。</p>
<p>そんな事は、民主主義を導入するまでもなく、</p>
<p>すぐにでもできるはずだ。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>チキンスープと登山（４）餡かけ</title>
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		<pubDate>Sun, 26 Jun 2011 08:00:03 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
日本人のわたしには、中国の親子関係というのが、
未だに完璧には理解しがたいものだ。
彼らの関係は、べったりとくっついているようで、
永久に交わらないもどかしい関係のようにも見える。
わたしは、中国人密度が最高に達するエ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/486.jpg" rel="lightbox[1861]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/486-300x225.jpg" alt="" title="486" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1862" /></a></p>
<p>日本人のわたしには、中国の親子関係というのが、</p>
<p>未だに完璧には理解しがたいものだ。</p>
<p>彼らの関係は、べったりとくっついているようで、</p>
<p>永久に交わらないもどかしい関係のようにも見える。</p>
<p>わたしは、中国人密度が最高に達するエレベーターの中で、</p>
<p>中国文化を感じる事が多いように思う。</p>
<p>ある日、エレベーターに乗っていると、</p>
<p>髪を日本のジャニーズっぽくセットして、</p>
<p>太ももから足首まで一直線のラインを保つ</p>
<p>細身のジーンズを穿いた20代前半くらいの男子が</p>
<p>おもむろにタバコに火をつけた。</p>
<p>エレベーターの中での喫煙は中国では、</p>
<p>もう見慣れたものになってしまったが、</p>
<p>やはり気分が悪いので顔をしかめていると、</p>
<p>隣にいた小太りで背の低い40代あたりの男が</p>
<p>「こんなところでタバコを吸うものじゃない。</p>
<p>他の人に迷惑だ」とその男に注意した。</p>
<p>わたしは、中国のマナーもこんなふうに、</p>
<p>人々が注意し合うことで改善されてゆくのかもしれないと、</p>
<p>楽観的な気分になろうとしたところだったが、</p>
<p>そんな間も与えず大きな声で叫び始めたのは、</p>
<p>その若い男のすぐとなりにいた</p>
<p>三輪明弘風の金髪がなぜか、天津丼の餡かけを彷彿とさせる</p>
<p>背の低いおばさんだった。</p>
<p>「息子はタバコを吸っていない。ただタバコに火をつけただけだ、</p>
<p>文句があるならお前が出て行け！」とその中年に</p>
<p>今にも殴りかからんとする様子で叫んでいる。</p>
<p>中年男もそのばばぁのキンキンと耳に痛い声にかぶせるように、</p>
<p>大声をあげはじめた。</p>
<p>そのまわりにいた人たちは、なるべく早くこの喧嘩の主をエレベーターから押し出そうと、</p>
<p>次にドアが開くのを待ちながら階数のボタンを見つめている。</p>
<p>そんな状況で、最も他人顔をしていたのは、</p>
<p>タバコを左手に持った、その若者だった。</p>
<p>全く自分には無関係な事のようにその状況を見ている。</p>
<p>それが、恥ずかしさのあまり</p>
<p>他者に成りすましているとかそういうのではなく</p>
<p>本当に、何も考えていないのだという事が目を見るとわかる。</p>
<p>わたしはその、無気力な目つきに、底知れぬ恐怖を覚えたりする。</p>
<p>教育関係の仕事につくわたしの恋人も、中国の親子関係の奇妙さをよく口にする。</p>
<p>彼がとくに驚くのは、保護者同伴のクラスをする時に、</p>
<p>多くの保護者が、まったく学校側に協力的に動かず、</p>
<p>子どもが、先生に悪態をつこうと、席に着かずに暴れだそうと、</p>
<p>まったく我が子に注意しない事だ。</p>
<p>ある子どもが授業中教室の中を走り回って、</p>
<p>その上、他の子どもに暴力をふるった事があったそうだ。</p>
<p>その授業が終わると、授業を観察していたその子ども親は、</p>
<p>子どものところにすぐさま歩み寄って、とても心配そうに、その子の顔を覗き込み</p>
<p>「お腹はすいていない？」と聞いたそうだ。</p>
<p>わたしは、こういう状況を見聞きするたびに、</p>
<p>中国の親子関係から発する社会問題が、</p>
<p>今後ますます増えてゆくのではないかと、</p>
<p>中国の未来に絶望感を見出してしまう。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>チキンスープと登山（３）発育過程</title>
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		<pubDate>Sat, 25 Jun 2011 07:33:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
期待通り、青島駅に降りるや否や、潮の匂いがした。
わたしたちは、目を合わせながら、無言で、何度も深呼吸する。
こうして海を感じるのは、いつぶりの事だろう。
わたしと恋人が出会ったのは、海沿いの街、別府市だったが、もしか [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/dscn2646.jpg" rel="lightbox[1857]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/06/dscn2646-300x225.jpg" alt="" title="dscn2646" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1859" /></a></p>
<p>期待通り、青島駅に降りるや否や、潮の匂いがした。</p>
<p>わたしたちは、目を合わせながら、無言で、何度も深呼吸する。</p>
<p>こうして海を感じるのは、いつぶりの事だろう。</p>
<p>わたしと恋人が出会ったのは、海沿いの街、別府市だったが、もしかしたら、その時以来なのかもしれない。</p>
<p>天津にも海があるのだが、中国人の誰もが「あの海は汚いから行かないほうが良い。」</p>
<p>という。</p>
<p>地元について、かなり多くの事を大目に見る寛容さのある中国人が、</p>
<p>そう言っているくらいだから、本当に酷い状況なのだろう。</p>
<p>青島の海はうってかわって評価が良い。</p>
<p>以前、日本に留学していた、わたしの中国人の上司は、</p>
<p>「青島は、空気が綺麗で、静かで、日本のようなところですよ。」と言っていた。</p>
<p>そう言えば、汚染されていない空気からも、静けさからも、かなり長い間、遠ざかっていたような気がする。</p>
<p>駅を出ると、少しがっかりした。</p>
<p>中国では、おなじみの、タクシーに無理やり乗せようとする運転手や、</p>
<p>部屋の写真つきの、ビジネスカードをわたしたちの鼻先に押し付けながら、</p>
<p>ホテルを斡旋しようとするおばさんに、一斉に囲まれた。</p>
<p>彼らは、白人であるわたしの恋人を目印に走り寄ってきてそして、</p>
<p>一方的にわたしの耳元に向かって叫ぶ。</p>
<p>「どこまで行くつもりだ」「１００元でどうだ」とか、そんな事を。</p>
<p>中国語を流暢に話す恋人が、その人垣をある程度処理し、</p>
<p>ついでに５元くらいで地元の地図を手に入れた後で、</p>
<p>ようやく、街の景観を見渡す事ができた。</p>
<p>全般に、こじんまりとしていて、</p>
<p>海鮮料理を売る食堂も、</p>
<p>貝殻をザルの上にこんもりと盛って売っているお土産物屋さんも、</p>
<p>５階建ての小さなデパートも、</p>
<p>駅の改札を出て１，２分のところに親しみやすく軒を連ねている。</p>
<p>天津で改札を出て徒歩５分後は、おそらくまだ天津の駅の中だろう。</p>
<p>駅前のマクドナルドに行くのにだって、おそらく１０分以上はかかってしまう。</p>
<p>そこから更に、人々の暮らし、そこにあるはずの生活感にアクセスしようと思ったら</p>
<p>、タクシーに乗ってどれくらいかかるだろう。</p>
<p>青島の駅に降り立って、人がありえないほど住んでいるのに、</p>
<p>生活の空気を感じさせない天津の街が、あらためて異様な場所に思えてきた。</p>
<p>わたしたちは、インターネットで予約したホテルを目指した。</p>
<p>予約と言っても、とても簡単なもので、</p>
<p>キャンセルしたからと言って、キャンセル料をとられるわけでもなかったので、</p>
<p>もしかしたら他のホテルに乗り換えるかもしれない、という可能性を踏まえ、</p>
<p>街をキョロキョロ見渡しながら歩いた。</p>
<p>坂道が多く、その坂に沿ってつくられた200メートル間隔の階段のように</p>
<p>なだらかに広がる公園のあちこちに桃の花が咲き乱れている。</p>
<p>陽だまりには、お年寄りが数人輪になって、木造校舎に並んでいそうな、</p>
<p>埃っぽくて小さな椅子に腰掛けて談笑しており、</p>
<p>そのまわりを、お尻のところがパックリと割れていて、</p>
<p>いつでも排泄可能なズボンを穿いた子どもが走り回っていた。</p>
<p>この子供用ズボンを初めて見たときは、何かの冗談かと思った。</p>
<p>ズボンというのも名ばかりで、大事なところは丸出し。</p>
<p>サイズの合わないものを身に着けている子なんて、</p>
<p>太もものほとんどが肌蹴ていて、</p>
<p>腰から吊り下げた脹脛カバーくらいの役割しか果たしていない事もある。</p>
<p>おそらく、足を閉じて「気をつけ」をしていたら、</p>
<p>大切なところは隠れるのだろうが、</p>
<p>子どもというのは、そもそも、誰かに強制されなければ、</p>
<p>そんな格好はしないものだ。</p>
<p>まして、1歳に満たない赤ちゃんなど、ほとんど寝転がっているわけだから、</p>
<p>常にお尻を丸出しにしている。</p>
<p>中国でかわいい赤ちゃんを見かけて抱っこさせてもらったところで、</p>
<p>手に　ぬるっと　局部があたるので、びっくりする事がある。</p>
<p>そして「あ、濡れるから気をつけてくださいね」と注意される。</p>
<p>気をつけると言っても、わたしは、</p>
<p>すぐさま赤ちゃんを母親の腕の中に返す以外の策を思いつかない。</p>
<p>以前、エレベーターの中で子どもにおしっこさせている母親を見た事があるが、</p>
<p>それ以外にも、トイレの前の洗面所、バスのゴミ箱の中など、</p>
<p>中国の保護者達は実にいろんなところで、</p>
<p>ひょいっと　膝をかかえて子どもに排泄させる。</p>
<p>以前読んだ、心理学の本に、</p>
<p>子どもには、「口唇段階」「肛門的段階」「男根的段階」というような発育過程があって、</p>
<p>その段階の中で、母性愛を感受したり、自立心を持ったり、</p>
<p>異性である親に敵対心を持ったりして、自己形成をするのだと書いてあった。</p>
<p>19世紀のヨーロッパの子ども達が、</p>
<p>どのような服装をしていて、どこで排泄をしていたのかはわからない。</p>
<p>だけれど、おそらく中国のような、常に股間を外界に曝していて、</p>
<p>基本的にどこで排泄してもＯＫというような事はなかったと思う。</p>
<p>案外、このお尻丸出し状態が、中国の子どもの心理発達に影響を与えていたりして・・・と、</p>
<p>わたしはいつも、勝手な想像をしている。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>チキンスープと登山（２）プロペラ？</title>
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		<pubDate>Thu, 26 May 2011 04:50:17 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
２００８年の北京オリンピックのあたりで新設された、
新幹線　和階号は、設立当初、
わたしにとって、数少ない「中国から逃避できる場所」だったように思う。
添乗員がちゃんとお化粧をしていて、
サービスも一定のレベル、お手洗 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/0561.jpg" rel="lightbox[1854]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/0561-300x225.jpg" alt="" title="0561" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1855" /></a></p>
<p>２００８年の北京オリンピックのあたりで新設された、</p>
<p>新幹線　和階号は、設立当初、</p>
<p>わたしにとって、数少ない「中国から逃避できる場所」だったように思う。</p>
<p>添乗員がちゃんとお化粧をしていて、</p>
<p>サービスも一定のレベル、お手洗いも清潔で、</p>
<p>たしかトイレットペーパーが備え付けられていた。</p>
<p>日本のテクノロジーを輸入したものだから、</p>
<p>車内も見慣れた日本の新幹線のデザインとほとんど一緒で、</p>
<p>和階号のシートに収まっている時は、つかの間、「日本」を感じられた。</p>
<p>ところが時が経てば、やはり全てが中国の色に染まってゆく。</p>
<p>トイレからトイレットペーパーは消え、以前は、</p>
<p>コーヒーポットをカートに乗せて</p>
<p>「コーヒーはいかがですか？」と上品にやっていた添乗員が、</p>
<p>今では、空のコーヒーカップを振りかざしながら</p>
<p>「コーヒーいる人―！」と叫んでいる。</p>
<p>この調子だと、添乗員が制服を着崩して、</p>
<p>プラスチック製の発光しながら飛ぶ竹とんぼや、</p>
<p>おもちゃの携帯電話を電車の中でぐずる子どもの親に押し売りし始める日も、</p>
<p>そう遠くはないだろう。</p>
<p>日本式の無料のサービスは淘汰されてしまうだろうが、</p>
<p>ある意味、無駄が省けて、車内販売の売り上げも上昇。</p>
<p>こちらの方が、ずっと理にかなっているのかもしれない。</p>
<p>そういえば、以前は中国逃避のために通っていたスターバックスにも、</p>
<p>あまり足を運ばなくなった。</p>
<p>「コーヒー文化革命」を成し遂げた誇り高いアメリカの企業でさえも、</p>
<p>やはり、中国進出後の中国化は否めない様子だ。</p>
<p>上質なコーヒーを求めて来店する客のほとんどが、</p>
<p>西洋人などの外国人。</p>
<p>中国人はと言えば、</p>
<p>中国からアメリカに輸出されて、</p>
<p>スターバックスのブランド名を付けた中国茶を飲んでいる人が多い。</p>
<p>ここでも「海亀」が重宝されているのだな・・・と実感したりする。</p>
<p>「海亀」というのは、帰国子女「海归」を皮肉った呼び方。</p>
<p>（両方、発音はハイグイ）</p>
<p>「海外で、学位を得た後で帰国した中国人」の事を言い、</p>
<p>「海外経験があり、外国語が話せる」という事で、</p>
<p>中国の企業では、たいそう優遇されるのだそうだ。</p>
<p>中国で経済的に成功できるのは</p>
<p>「下海」（独立開業）した人、</p>
<p>もしくは「海亀」（海归）だけだ、と断言する人もいる。</p>
<p>もう1つ、「海亀」が、社会的に良い評価を得る理由として、</p>
<p>海外に住みながらも西洋化されず、</p>
<p>中国に帰国している、という事が上げられるような気がする。</p>
<p>彼らは、（おそらく海外にいる時から変わらず）中国のものを食べ、</p>
<p>そして、中国の家に住み、中国式の人生設計をしている。</p>
<p>そんな愛国心が中国社会にうけるのだ。</p>
<p>中国の、あるテレビ番組で「海外に永住する人たち、移民についてどう思うか」</p>
<p>という電話アンケートをやっていた。</p>
<p>予想通り、多くの人たちが移民には、批判的である、という結果が出ており、</p>
<p>中には「留学に反対！」という信じがたい声もあった。</p>
<p>テレビのデータだけでは、あまり信用できないが、</p>
<p>わたしの身のまわりに焦点を当ててみると、</p>
<p>やはり同じ印象を受ける。わたしの中国語が流暢でない事もあって、</p>
<p>英語を話せる、留学経験のある中国人が多い。</p>
<p>スペインや、フランスなど、わたし自身、旅行でしか訪れたことはないけれど、</p>
<p>もし機会があれば、ぜひ住んでみたい。</p>
<p>もし、1年でも住めるとしたら、</p>
<p>夢のようだと思ってしまうような国から帰って来た人でさえも、</p>
<p>「海外は、面白くない。中国が1番」というような事を言っている。</p>
<p>島国の育ちの私たちは、他の国の人に比べ、</p>
<p>よけいに、海外にあるものが輝いて見える、</p>
<p>という事もあるかもしれない。</p>
<p>それに、旅行で訪れるには、素晴らしい土地でも、</p>
<p>住んでみれば、様々な苦労や、失望もあるのかもしれない。</p>
<p>そんなふうに、彼らの意見を尊重しようとするのだけれど、</p>
<p>どうしても、額の裏側の疑問符は膨れ上がるばかりで、</p>
<p>それは時に怒りを帯びる事さえある。</p>
<p>自由や、芸術にあふれたヨーロッパの生活が</p>
<p>中国の生活より劣っているとは、よく言えたものだ！！！</p>
<p>そんな中国マーケットの中に立つスターバックスには、</p>
<p>いつか、マフィンやスコーンと並んで、</p>
<p>笹の葉で包まれたオコワや、</p>
<p>棗の実に糖衣をからめたお菓子などが売られる日が来るのかもしれない。</p>
<p>そして、その日、人は、アメリカＶＳ中国の対決はは、</p>
<p>やはり中国の勝ちだな、と認めざるを得ないのだろう。</p>
<p>わたしたちが体育座りしていた電車の連結部には、</p>
<p>メタリックなつくりのトイレが2つと、その向かいに、</p>
<p>カップ麺やお茶を入れる時のための給湯所が備え付けられていた。</p>
<p>お湯を入れる人々の手つきは、妙にせかせかしているのだけど、</p>
<p>一方、トイレ側の景色は、時間が静止しているのかと思えてしまうくらい動かない。</p>
<p>トイレの中の主は、どんなに長い行列ができていようと、</p>
<p>そしらぬふりで、のんびりと時を過ごしている様子だった。</p>
<p>わたしは、飛行機の中などで、トイレのドアの赤いoccupiedが緑のvacantに替わってくれない時、</p>
<p>まず、トイレの中に、中国人がいるのではないかと思うようになった。</p>
<p>中国人はお手洗いが異様に長い。</p>
<p>一体、何にそんなに時間がかかるのだろう、と不思議に思う。</p>
<p>そして、散々待たされている間に、</p>
<p>「中にいるのは、きっと、不健康で、動きも、排便も遅い、太ったおばさんに違いない」と</p>
<p>勝手に妄想が膨らむのだが、実際、出てくるのは、スラット手足の長い高校生だったりする。</p>
<p>ますます「中で何をしていたの？」と聞きたくなる。</p>
<p>そして、失礼と偏見と下品をお許し願いたいが、</p>
<p>中国人は便器を汚す人が多いと思う。</p>
<p>だから私は、飛行機の中では、なかなかvacantにならないトイレは使わずに、</p>
<p>人を掻き分けながら機体後部のトイレを目指す場合がよくある。</p>
<p>以前、その現状を目にした日本の友人は、</p>
<p>「中国人って、肛門にプロペラついてる？」と真顔で聞いてきた。</p>
<p>わたしは、反射的に描いてしまったその様子をかき消しながらも、</p>
<p>このトイレの汚さを、生理学的な違いによるものだという事にしてしまえば、</p>
<p>返って気が楽かもしれないと思った。</p>
<p>わたしは「肛門プロペラ説」を暫定的にではあるが、信じようと思う。</p>
<p>お手洗いを使った後の人がドアを閉めないので、</p>
<p>空いたままのトイレは、車内に臭気を放っていた。</p>
<p>そして、しばらくすると、その金属製のドアは新幹線の揺れにしたがってガチャンと大きく音を立てて閉まる。</p>
<p>わたしと恋人は、そんな落ち着かない空間で、</p>
<p>体育座りでサンドイッチを食べ、本を読み、窓の外を眺めた、</p>
<p>うとうとし始めたところで、またトイレのドアがガチャン！と大きな音を立て、目が覚める。</p>
<p>青島までの5時間、わたしは密かに、この不都合の共有に、</p>
<p>胸をときめかせながら新幹線に揺られていた。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>チキンスープと登山（１）</title>
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		<pubDate>Thu, 26 May 2011 04:26:51 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
登山というのに、そんなに思いいれがあるというわけでもないが、
5月の初めに、恋人が1週間の休暇をもらえると知ったときに、
わたしはまず「どこかの山に登ろう」と提案した。
おそらく、恋人にとって、常にインパクトのある存在 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/096.jpg" rel="lightbox[1852]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/096-300x225.jpg" alt="" title="096" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1846" /></a></p>
<p>登山というのに、そんなに思いいれがあるというわけでもないが、</p>
<p>5月の初めに、恋人が1週間の休暇をもらえると知ったときに、</p>
<p>わたしはまず「どこかの山に登ろう」と提案した。</p>
<p>おそらく、恋人にとって、常にインパクトのある存在でありたいというエゴの強さが、</p>
<p>わたしの、冬の間にエクササイズを怠けすぎて、</p>
<p>重みを増したお尻に鞭を入れたのだろう。</p>
<p>わたしたちは山東省にある</p>
<p>標高１５００メートルの名山「泰山」に登る予定を</p>
<p>休暇のクライマックスとして控え、</p>
<p>ひとまず山東省の海岸の街、青島（チンタオ）を目指した。</p>
<p>（今、これを書いていて、チンタオ、とワードでタイプした時に、</p>
<p>「青島」と変換されなかったので、驚いた。</p>
<p>確か、旅の途中で、家族にアイフォンでメールした時は、</p>
<p>「チンタオ」は「青島」に変換されたと思う。</p>
<p>アイフォンののほうが、中国の土地の名前に対応しているらしい。</p>
<p>日本人同士で話している時、</p>
<p>中国の土地の名前を中国語の発音をそのまま使う場合と、</p>
<p>漢字を日本語読みにする場合との二通りがある。</p>
<p>例えば、福建省はフッケンショウと、吉林省はキツリンショウと呼ぶのが一般的、</p>
<p>（中国語では前者をフージェン、後者をジーリンと言う）</p>
<p>「北京」をペキンでなくて、ベイジン、なんて発音したら、その場の空気を濁す事になる。</p>
<p>だけれど、河南省とか、湖北省などの、ややマイナーな省になると、</p>
<p>たいていの日本人が、中国語の発音を用いるようになる。</p>
<p>（前者はハーナン、後者はフーベイ）</p>
<p>そして、それが、ひとたび、省の名前ではなくて、都市や、通りの名前となった時には、</p>
<p>日本語の発音を使う確率はぐんと減る。</p>
<p>通りの名前は、たいてい、他の地域の名前を引用している事が多いのだが</p>
<p>「先日、南京に旅行に行きました。」という時の南京は「ナンキン」と発音し</p>
<p>「明日、伊勢丹天津店の前の、南京通りで待ち合わせをしましょう」の時の南京は「ナンジン」と発音するのが一般的、</p>
<p>というか、ある意味、礼儀である。もちろん、話す相手にもよる。全くややこしい話だ。</p>
<p>天津を出発する日の朝も確か、身支度を整える際に、</p>
<p>「山東省」は日本語だと、サントウショウだったかしら？シャンドンショウだったかしら？</p>
<p>それとも間をとって、サントン？などと、うつろに考えていた。</p>
<p>携帯電話でタイプすれば一発でわかるところを、ただ漫然と思いふけっていたために、</p>
<p>髪を撫で付けるだとか、靴下をはくだとかの行為全般に時間がかかり、</p>
<p>予定していた北京行きの電車に乗り遅れてしまった。</p>
<p>天津を出る時間にして30分程度の遅れだったが、</p>
<p>それが北京から山東省への電車の旅を大きく狂わせてしまう事になる。</p>
<p>その日は、ちょうど連休が明けた日の翌日だったので、</p>
<p>わたしたちは、それほど乗客はいないだろうという楽観的な予測をしていた。</p>
<p>ところが、北京についてみると、切符売り場は、汗臭い長蛇の列にすっかり覆われており、</p>
<p>わたしたちが、ようやく切符売り場の窓口にたどり着いた時には、シート席は完売。</p>
<p>わたしたちは、北京から山東省までのほぼ5時間を中国の新幹線、</p>
<p>和階（ハーシエ）号の連結部に体育座りで過ごさなければならなかったのだ。</p>
<p>（つづく）</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>解凍アンパンマン</title>
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		<pubDate>Mon, 16 May 2011 10:29:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
「これ！おねえちゃんみたい！」
わたしの、3歳の生徒がテレビに映ったアンパンマンを指差して、
そんなふうに言う。
アンパンマンという評価は決して名誉な事ではないが、
父親譲りの丸顔で、童顔なゆえ、
実際の年齢よりも、若 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/126.jpg" rel="lightbox[1841]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/05/126-300x225.jpg" alt="" title="126" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1840" /></a></p>
<p>「これ！おねえちゃんみたい！」</p>
<p>わたしの、3歳の生徒がテレビに映ったアンパンマンを指差して、</p>
<p>そんなふうに言う。</p>
<p>アンパンマンという評価は決して名誉な事ではないが、</p>
<p>父親譲りの丸顔で、童顔なゆえ、</p>
<p>実際の年齢よりも、若く、見積もっていただける事がある。</p>
<p>今からおよそ3年前に上海周辺を旅行していた時は、</p>
<p>よく大学生に間違えられた。</p>
<p>中国の大学生は、日本の大学生と比べて、</p>
<p>どちらかといえば無垢で子どもっぽい印象があるので</p>
<p>「いやいや」と謙遜しながら、</p>
<p>実際、中国人大学生の中にわたしがいたら、確実に浮く、</p>
<p>というか、２，３歩後ろにいるみたいにくすんで見えるに違いない。</p>
<p>「大学生ですか？」と聞いてくる中国人は、</p>
<p>想像力が欠けているのではないか・・・と思ったりしていた。</p>
<p>去年の春に初めて天津に来た時も、はやり「留学生ですか？」と聞かれた。</p>
<p>トヨタに勤める駐在員の奥様たちのほうが、年齢的に、ずっと近いはずなのに、</p>
<p>「太太（奥さん）ですか？」と聞かれる事は1度もなかった。</p>
<p>そして実際の年を告げると、誰もが「へーっ！」目を丸くして、驚いた。</p>
<p>そんな事が、ほぼ毎日のように続くので、</p>
<p>もしかしたら、わたしの遺伝子は年を取らないプログラミングになっているのではないかもしれないと、</p>
<p>やや有頂天な空想にふけったりしていたものだ。</p>
<p>しかし、そんな気分でいられたのも11月を迎え天津の空が突如街を牽制しはじめるまでの事だった。</p>
<p>天津の冬は厳しかった。</p>
<p>1度外に出ようと思ったら、抜かりない装備が必要。</p>
<p>まずは、タイトなトレーナーみたいに厚みの「内衣（ネイイ）」と呼ばれる下着をつけて、</p>
<p>その上にニットを二枚重ね、着太りした全身をさらに厚手のコートで無理やり包み込み、胴体を守る。</p>
<p>そしてもっとも重要なのが、足元の防備。</p>
<p>靴下はもちろん、2枚か3枚重ね、足の指の屈伸ができないくらい丸まるとした指先を</p>
<p>マフ生地のフワフワがびっしり内側を覆っているブーツに押し込んだ。</p>
<p>それから、耳マフをつけてマフラーで目元のギリギリまでを覆う。</p>
<p>全身を自ら拘束服でかためたような状態を作っておいて、ようやく外に出る事ができた。</p>
<p>おそらく外を歩くときには、体ばかりか、顔全体の筋肉をこわばらせていたのだろう。</p>
<p>北風との戦いのような冬が終わり、春の緩んだ日差しの中で鏡を覗き込むと</p>
<p>冷凍したアンパンを解凍したみたいに、肌のハリが失われていて</p>
<p>わたしは3歳は年をとってしまったような気がした。</p>
<p>冬を越してから、わたしの年齢の話になると、</p>
<p>たいていの中国人が「20代半ば過ぎくらい・・・」と遠慮がちに視線をわたしの顔の真ん中に留めるようになった。</p>
<p>そして「いや、31歳です。」と言うと、急に気分が晴れたように</p>
<p>「本当に、若く、見えますね。」</p>
<p>と、もう一度、今度は目じりや首元や、</p>
<p>どこか実際年齢が顔を出していそうなところを容赦なく、覗き込んだ。</p>
<p>そういう視線をあびるせいか、わたし自身、顔の隅々をよく見つめるようになった。</p>
<p>「20歳くらいに見える」　と　「25歳くらいに見える」</p>
<p>の差はものすごく大きいようや気がする。</p>
<p>確実に年をとっている。　</p>
<p>冬の間、寒波と戦う一方で、わたしの生活は仕事を筆頭に様々な変化があった。</p>
<p>年始からバイトを始めたカフェが旧正月（2月はじめ）を過ぎた頃に閉店した。</p>
<p>生活の支えを失ったので、そろそろ日本に帰ろうかと考えていると、</p>
<p>そのカフェの常連客だった日本人学校の校長先生が、</p>
<p>わたしをそこの非常勤講師として雇用してくださった。</p>
<p>ようやく「先生」と呼ばれるのに慣れてきた頃、</p>
<p>ビザの期限が迫り、「そろそろ日本に帰ろうか」と考えていると、</p>
<p>その学校の関係者である、裕福な中国人が、</p>
<p>「ビザの手配をするので、うちの子どもの専任日本語教師をしてくれないか」と</p>
<p>オファーを下さった。</p>
<p>なかば、背後にあるお金の力に圧倒されるようなかたちで</p>
<p>「よろしくおねがいします」とお返事し</p>
<p>今では、そこで毎日、家庭教師をしている。</p>
<p>日本語教師とは言っても、教える相手は3歳の女の子なので、</p>
<p>彼女は、わたしの事を「先生」ではなくて「おねえちゃん」と呼ぶ。</p>
<p>「一緒に、とびっきり甘い卵焼きを焼いて、それを持って公園に遊びに行く、</p>
<p>じゃんけんをしたり、魚にエサをやったり、</p>
<p>アンパンマンの歌を歌ったり。</p>
<p>そういうのが、わたしの仕事だ。</p>
<p>いつの間にか、家族のみなさんに「おねえちゃん」と呼ばれるようになった。</p>
<p>気がついてみれば、中国での生活も1年にさしかかり、</p>
<p>天津のある裕福な家庭の「おねえちゃん」としての役回りが板につきつつある。</p>
<p>もしも同じような偶然や幸運の重なりを日本で体験したならば、</p>
<p>わたしは間違いなく</p>
<p>「これも、何かの良縁で・・・」</p>
<p>と枕詞を添えたくなるところだけれど、</p>
<p>ここ中国では、どちらかと言えば、</p>
<p>人と人との企みと打算とがつくった凹凸の淵を水のように流れているうちに、</p>
<p>今いる場所に行きついたといった印象を受ける。</p>
<p>こうして、陰と陽が入り混じっているのが、中国的な世界だ。</p>
<p>その一方で、日本、というか、わたしの生まれた出雲地方で言われるような、</p>
<p>善意と善意でできた、健全で完璧な縁というようなものが、</p>
<p>言葉は悪いけれども、それこそ、神話の中での話のように、</p>
<p>時代錯誤で、非現実的なものに感じられてしまう。</p>
<p>わたしのアンパンマン顔に、少しずつ陰が生じているのも、</p>
<p>もしかしたら、ただ、厳しい冬を乗り越えたという事だけではなくて、</p>
<p>そういう「陰」の部分を飲み込み始めた、</p>
<p>わたしの思考の性質変化によるものなのではないかと、</p>
<p>思ったりする。これが大人になるという事なのかもしれない。</p>
<p>ちょうど1年前に西安に行った時の写真を見ていたら、</p>
<p>自分の顔に、あまりに陰がなくて、それが、なぜか、</p>
<p>平らたく潰したアンパンマンみたいに見えて、</p>
<p>少し恥ずかしくなってしまった。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>日本省か日本州か</title>
		<link>http://himeringo.com/2011/02/23/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e7%9c%81%e3%81%8b%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%b7%9e%e3%81%8b</link>
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		<pubDate>Wed, 23 Feb 2011 13:13:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
中国で中国人に囲まれながら生きており
恋人はディスカッション好きのアメリカ人で
こちらでの、1番の仲良しは、究極的に上昇志向なロシア人
・・・という環境にいるせいだろうか
大国に挟まれる日本。みたいなのを
皮膚感覚とい [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/02/020.jpg" rel="lightbox[1837]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/02/020-300x225.jpg" alt="" title="020" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1836" /></a></p>
<p>中国で中国人に囲まれながら生きており</p>
<p>恋人はディスカッション好きのアメリカ人で</p>
<p>こちらでの、1番の仲良しは、究極的に上昇志向なロシア人</p>
<p>・・・という環境にいるせいだろうか</p>
<p>大国に挟まれる日本。みたいなのを</p>
<p>皮膚感覚といっても良いくらいの切実さで、日々感じている。</p>
<p>カフェの日本人の店長と話す時間は、安らぎのひと時だ。</p>
<p>とは言え、話す内容といったら</p>
<p>「日本もいつか、日本省ってことになったりするんですかね・・・</p>
<p>日本円から福沢諭吉が消えて</p>
<p>都道府県の読み方も中国読みになって・・・</p>
<p>大阪が「ダーバン！」とか</p>
<p>北海道が「ベイ！ハイ！ダオ！」とかですよ。</p>
<p>絶対、嫌ですよね。なんか、ガツガツしてて</p>
<p>日本らしくないですよね。</p>
<p>嫌ですねー。ほんとー嫌ですよねー。」</p>
<p>と、日本人の大好きな慰め合い・・・と言った感じ。</p>
<p>「だったら、むしろ日本州のほうがいいよねー。</p>
<p>ジャパンステイツ！！かっこいいじゃない。」</p>
<p>団塊手前くらいの世代の店長は、</p>
<p>やはりアメリカやアメリカ的なものが大好きだ。</p>
<p>カタカナ英語の響きに、活力が漲る。</p>
<p>「でも、そしたら、日本の軍事力を持って行かれたりしませんか？</p>
<p>たとえばまた戦争が起きて</p>
<p>州からの派兵ってことで、何パーセントか</p>
<p>日本州の軍事を提供することになったとしても</p>
<p>ものすごい力になるんじゃ・・・」</p>
<p>「でも、今のところ、とりあえず自由ってのを知っている僕らが</p>
<p>共産主義の中で生きられる？</p>
<p>無理でしょう？</p>
<p>Ｆａｃｅｂｏｏｋがないとか、考えられないでしょう？」</p>
<p>確かに、ある意味、中国人が、今の状態でも生きていけるのは</p>
<p>歴史的に、常に政府から騙されてきたからだと言える。</p>
<p>「でも、アメリカというのは、国というよりも</p>
<p>いくつかの企業の塊みたいになってますよ。</p>
<p>その上、何気、宗教大国ですよ。</p>
<p>今更、キリスト信じられますか？」</p>
<p>「うーん・・・」</p>
<p>答えが出ないのはわかっている。</p>
<p>共産主義が、いつか果たされるべき夢の社会を目指している段階だとすれば</p>
<p>民主主義は、その体系が実現され、そして次の成長の段階に差し掛かっているところなのだ。</p>
<p>ただし、感覚的に言って、やはり</p>
<p>「日本省は嫌だなぁ・・・。日本州ならまだしも」</p>
<p>というのが、正直な意見だと思う。</p>
<p>日本が独立してくれたら良いのにと、心から思う。</p>
<p>ただし、わたしひとりが、日本という国に及ぼせる力はゼロに近い・・・</p>
<p>という事で、わたしは、1人の日本人としての独立した考え方、独立した生き方とは</p>
<p>何だろうか・・・？という事を考えている。</p>
<p>省にも州にも属さない、独立した自分の姿をみつけたいと思う。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>年越しの花火</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Feb 2011 12:33:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
「日本の人は、お金持ちなのに
ほんとにケチよだよ。
ひと晩一緒にいても
8割くらいの日本人は、お金払ってくれないよ。
頭に病気があるね。」
と、ルナが言う。
夜は、日本人向けのスナックでバイトをして
昼間は、わたしの勤 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/02/044.jpg" rel="lightbox[1832]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/02/044-300x225.jpg" alt="" title="044" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1833" /></a></p>
<p>「日本の人は、お金持ちなのに</p>
<p>ほんとにケチよだよ。</p>
<p>ひと晩一緒にいても</p>
<p>8割くらいの日本人は、お金払ってくれないよ。</p>
<p>頭に病気があるね。」</p>
<p>と、ルナが言う。</p>
<p>夜は、日本人向けのスナックでバイトをして</p>
<p>昼間は、わたしの勤めるこのカフェで働いている。</p>
<p>大学で日本語を専攻していたから日本語がとても上手だけれど、</p>
<p>わたしが、中国語学習者だと知っているので</p>
<p>わたしと話すときは、なるべくゆっくりと中国語で話してくれる。</p>
<p>「それは、以外だね。</p>
<p>日本人は、あんまり何にも考えずに</p>
<p>日本の物価のままの計算でお金を払いそうなイメージだけど。」</p>
<p>そう言うと、ルナは続けて</p>
<p>「それに、日本人のお客は変だ。</p>
<p>キレイな女よりも、田舎者っぽい女のほうが好きだ。」</p>
<p>と、不思議で仕方ないといったふうに首をかしげた。</p>
<p>そう言われてみれば、確かに、日本人ビジネスマンが、</p>
<p>お化粧をあまりしていない</p>
<p>童顔の中国人の女の子を連れて歩いているのを</p>
<p>何度か見たことがある気がする。</p>
<p>「日本のビジネスマンは、ゴージャスさよりも</p>
<p>癒しを求めているのかもね・・・」</p>
<p>そんな話しをしている矢先に</p>
<p>だぼっとしたセーターを着た猫背の中国人女性と</p>
<p>いかにも、「私服」と呼ばれるものに不慣れな様子で</p>
<p>ポロシャツ、ジーンズともにユニクロでそろえた日本人男性の</p>
<p>2人連れがカフェの扉を開けて入ってきたので</p>
<p>わたしたちは、すぐさま口を噤んだ。</p>
<p>ルナが注文をとり、伝票を厨房に送ると</p>
<p>また、天井スレスレのところに備え付けられたテレビから聞こえてくる</p>
<p>Ｊポップが大きく響き始めたように感じられる。</p>
<p>Ｊポップというか、繊細な歌詞をダラリとした音運びで奏でるあたりが</p>
<p>ややＵＫロックっぽい・・・日本の曲。</p>
<p>こういう種類の曲マーケットは、おそらく</p>
<p>人生に影が帯びるのを感じ始める思春期の男女だろうと思う。</p>
<p>いつの時代にも、影を請け負う音楽があり</p>
<p>影を請け負う仕事は、静かに生き続けているような気がする。</p>
<p>ルナは小さな声で</p>
<p>「ほんとは、　今の仕事はしちゃいけないよ。</p>
<p>仏教徒には</p>
<p>肉を売る仕事と</p>
<p>酒を売る仕事は　よくない。</p>
<p>だから、何か、別の仕事をしないといけない・・・」</p>
<p>ルナは仏教徒で</p>
<p>中国人ではめずらしく、ベジタリアンだし</p>
<p>ヨガのプラクティスも欠かさない。</p>
<p>仏教名・・・というようなものも持っているらしい。</p>
<p>ユカリももし、名前が欲しかったら</p>
<p>今度、お寺に連れて行ってあげるよ。</p>
<p>と誘われたことがある。</p>
<p>一体、どんなノリで、受け止めてよかったのかがわからなかったので</p>
<p>ひとまず、「へー、そんなに簡単に名前をつけてもらえるものなんだね」</p>
<p>と関心するのみにしておいた。</p>
<p>「中国は、本当にひどい。</p>
<p>どんな動物でも殺して食べるし</p>
<p>お金持ちは、</p>
<p>体に良いとか言って</p>
<p>人間の胎児を煮込んだスープを食べたりもしてる。</p>
<p>頭に病気があるね。</p>
<p>こんなところにいたら、いつか天罰が下って</p>
<p>天災に巻き込まれて</p>
<p>死んでしまう。</p>
<p>だから、わたしは、いつか中国を離れるんだ。」</p>
<p>わたしのために、なるべく単純に、簡単な中国語で話してくれているからだろうか</p>
<p>ルナの言う事は、いつも単純明快だ。</p>
<p>中国では、旧暦で新年を祝う。</p>
<p>その年越しの時には、街中から花火の音が鳴り響いた。</p>
<p>本当に、戦争が起きたのかと思うくらいの</p>
<p>ものすごい激しさだった。</p>
<p>道を歩けば、子どもが花火に火をつけて遊んでいる。</p>
<p>遊んでいるというわりには、笑いもしないし、ちっとも楽しそうではないのだけど。</p>
<p>それから大の大人が爆竹に火をつけて振り回している。</p>
<p>だからと言って、決して羽目を外しているふうの盛り上がりもなく</p>
<p>ただ、年の初めにやるべき事だというふうに</p>
<p>もくもくと、騒音を鳴り響かせている。</p>
<p>「花火は、その年の厄を全部落としてくれる」</p>
<p>と、中国の人は言う。</p>
<p>日本の除夜の鐘の静かな響きとはまた違った</p>
<p>中国なりの年の清め方があるのだ。</p>
<p>年越しの翌日には、地方から来た出稼ぎ人たちが</p>
<p>一日がかりで、花火の残骸を収集していた。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>道徳的洗脳</title>
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		<pubDate>Sat, 15 Jan 2011 06:55:05 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Yukari</dc:creator>
		
		<category><![CDATA[やさしさに囲まれた中国]]></category>

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		<description><![CDATA[
時々、中国人が「道徳的問題」という言葉を使う。
日本がバブルの時期にノストラダムスの予言を信じていたように
今の中国は2012年世界の終末説に怯えており
いつもは「中国が1番！世界は中国のためのもの！」
みたいに言って [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/01/0211.jpg" rel="lightbox[1817]"><img src="http://himeringo.com/wp-content/uploads/2011/01/0211-300x225.jpg" alt="" title="0211" width="300" height="225" class="alignnone size-medium wp-image-1819" /></a></p>
<p>時々、中国人が「道徳的問題」という言葉を使う。</p>
<p>日本がバブルの時期にノストラダムスの予言を信じていたように</p>
<p>今の中国は2012年世界の終末説に怯えており</p>
<p>いつもは「中国が1番！世界は中国のためのもの！」</p>
<p>みたいに言っている中国人が</p>
<p>突如として「中国には道徳的問題があるから、</p>
<p>2012年には、まず中国が、はじめに天罰を受けるんじゃないか・・・」</p>
<p>と顔色を曇らせたりしている。</p>
<p>日本はむしろ、とうとう全てが底を尽きた・・・という感があるから</p>
<p>2012年に世界がひっくり返えるのならば</p>
<p>今のジワジワと迫り来る現実的な不安や、</p>
<p>どうにも身動きのとれない状況をとりあえず解消できる。</p>
<p>と楽観的・・・というか、むしろヤケクソになっている人もいるのではないか。</p>
<p>もちろん、天災の恐怖を味わったことがなく</p>
<p>その上、積み上げてきたもののないタイプの人間がそんなふうに思うのだろうけど。</p>
<p>オーストラリアに住む友だちのアサコが電話をくれた。</p>
<p>「なんだか最近、</p>
<p>ワーホリで外国に来て羽目を外すバカな日本人の典型みたいになってるの。</p>
<p>こっちは、日本人びいきで、やたらモテるし</p>
<p>その流れに乗って、飲んで酔っ払って、楽しくやってると言えば、やってるんだけど</p>
<p>正直・・・で、何？</p>
<p>なんのために、こんな事してるの？</p>
<p>みたいに思えてくる。</p>
<p>やっぱり、わたし、日本の道徳観に洗脳されすぎてて、</p>
<p>他の西洋人みたいに</p>
<p>セックス！ドラッグ！ハッピー！みたいには思えないのかも。」</p>
<p>と嘆いている。</p>
<p>スカイプ画面にうつるアサコは、</p>
<p>タンクトップから日焼けした腕を出し</p>
<p>髪をあたまのてっぺんで、1つに束ねて</p>
<p>それが、いかにも、健康的なオーストラリア娘という雰囲気だ。</p>
<p>一方、スカイプ画面の右端の小さなスクリーンの中の</p>
<p>真冬の天津の冷え切ったマンションの一室のデスクに向っている</p>
<p>わたしの姿が、とても貧素に、不健康で嘆かわしく見えた。</p>
<p>セックス！ドラッグ！ハッピー！みたいな環境には正直</p>
<p>あまり興味はなかったはずだけれど</p>
<p>「いいねぇ。そういう生活も楽しそう・・・」</p>
<p>と、いつの間にか口にしていた。</p>
<p>それにしても、’道徳観の洗脳’’とは、なかなかセンスのある言い回しである。</p>
<p>’’洗脳’’という言葉が日本でとくに頻繁に使われるようになったのは</p>
<p>地下鉄サリン事件が起きて</p>
<p>オウム真理教の施設が一斉捜査された1995年頃だったと思う。</p>
<p>当時高校生だったわたしは</p>
<p>昼休みの教室の隅で誰かが</p>
<p>「お父さん！騙されちゃだめ！</p>
<p>彼らが言ってる事はぜんぶ嘘よ！</p>
<p>お父さぁぁぁん！！！！」</p>
<p>と、マスコミの前で涙ながらに訴える、</p>
<p>オウム真理教信者のモノマネをしていたのを見て</p>
<p>なるほど、洗脳というのはこうも、みっともないものかと</p>
<p>哀れに思っていたのを覚えている。</p>
<p>アサコはわたしよりも１０つ近く年下だから</p>
<p>彼女の年代には</p>
<p>「洗脳」という言葉が、特定の意志の植え付けや</p>
<p>そもそも持っていた主義や主張を強制的に</p>
<p>別のものに改ざんする事を指すものとして</p>
<p>ある程度、定着していたのだろう。</p>
<p>この’’洗脳’’という言葉に対して感じる</p>
<p>異様な気味悪さ、恐れのような感情は</p>
<p>彼女ら以前の世代、特有のものなのかもしれない。</p>
<p>’’洗脳’’という言葉は、そもそも中国語の&#8221;洗脑xinao&#8221;が語源である。</p>
<p>それが英語の&#8221;brainwash&#8221;と訳され、それが更に日本語に訳された。</p>
<p>&#8221;洗脑xinao&#8221;とは</p>
<p>朝鮮戦争の時に、中国が米兵捕虜に対して行った共産主義の植え付け行為</p>
<p>隔離や、拷問、薬物投与などを含めた行為を指す。</p>
<p>ルーツを探ってみると、この言葉は、中国共産党にとっては、</p>
<p>その名のとおり</p>
<p>「資本主義の汚れた価値観や主張を洗い流すもの」であり</p>
<p>アメリカにとっては</p>
<p>「意識を　民主的で平和な世界から悪しき共産主義の世界に強制連行するもの」</p>
<p>と定義されても良いだろう。</p>
<p>友人アサコの意識は、どこで汚され、また、どこからどこへ連行されようとしているのか。</p>
<p>そして、わたし自身は・・・。</p>
<p>（つづく）</p>
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